AR新聞を支える技術:紙とディスプレイ
紙に印刷されたAR新聞とウェブ新聞ではどちらが理解しやすいでしょうか?
一般的に紙媒体は、俯瞰して全体が見え、脳が活性化して理解しやすい、と言われています。一方でウェブ新聞は疲れが早いと感じてしまいます。これはそれぞれの媒体の特性から脳の理解力に差があるからです。
紙媒体が目と能に優しい理由=理解しやすい
紙は反射光媒体です。光が照射されて初めて情報を表します。一方で、ディスプレイは透過光媒体です。裏から光を照射されて情報が現れます。
同じ情報でも脳は全く違う反応を示すことがわかっています。
能は紙媒体の方が前頭葉皮質(情報を理解する部分)の反応が強く、ディスプレイよりも紙の方が情報を理解させるのに優れていることが判明しています。(出典:トッパン・フォームズ:2013年)
近赤外線分光法(NIRS:near-infrared spectroscopy)で計測
また、透過光を長く見ると目が疲れます。
このため、ディスプレイでも反射型媒体が開発されています。省電力の観点からの開発ですが、脳が活性化することは同じといえます。
反射光方式のディスプレイの開発
出典:ジャパンディスプレイ2013年
要点は、
①透過型ディスプレイは電力消費量が高くバッテリー消費が早い。
②反射型はバックライトが不要のため消費電力が著しく少ない。
③さらに、画素内メモリーにより画素単位でSRAMを形成、データを保持するため変更がない画素には都度書込みが不要=著しい低消費電力化。
④反射型の欠点:カラー化するとカラーフィルターの影響で反射率が下がり暗くなった。
⑤このため、今まであらゆる方向に散乱していた反射光を、Light Control Filmにより光の散乱を正面方向に絞って散乱させる事(LCF特製最適化)で反射率を向上させ画面を明るくした。
⑥さらに、White Magic 方式で反射率の高い白色をバックに挿入して反射率を向上させ、明るくした。
紙もディスプレイも反射媒体になれば脳は活性化し、理解力が高まります。しかも、紙媒体には俯瞰して全体が見れる、どこにでも折りたたんで持ち運びができる、という特性が残ります。このため、AR新聞は入口は紙媒体、詳細な本誌は反射型ディスプレイ媒体が理想的です。
日本では宅配新聞制度が確立していますので紙媒体のAR新聞配達が可能で、見出しと写真は紙媒体で、読みたい内容はウェブ新聞で、という分業が可能です。
しかし、最近ではディスプレイも紙ディスプレイ(Paper Display)が開発されています。韓国のLG displayは紙のように巻くことのできる薄型ディスプレイを開発しています。
宅配プロセスをより合理化するのであれば、紙ディスプレイを住宅各戸に設置、朝になると自動的に新聞が紙ディスプレイ上に配信されている、というのも夢ではありません。この場合、早版、遅版の差はありません。常に最新のバージョンが提供できます。
紙でも紙ディスプレイでも詳細記事は同じくAR化された写真をスキャンして反射型ディスプレイで読めば、目に優しく脳が活性化された状態で新聞が読めます。
LG最新Paper Display
As of Oct.2017.