5Gの驚異


ARで机の上でサッカー観戦


5Gとは第5世代の携帯電話網のことです。

2020年のサービス開始を目指す第5世代携帯電話網(5G)の技術開発は、2018年にピークを迎えます。5Gでは、4Gまでと異なり、超高速通信(4K動画配信、VR/AR等)、低遅延・高信頼(車の自動運転支援やプラントなどにおける異常通知等)通信多数同時接続(IoT対応のLPWA対抗)の要求仕様が大きく異なる3種類のサービスが提供されます。

 

4Gは動画ストリーミングやアプリストア、プログラマティックオークションをもたらしてくれました。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、人工知能(AI)の世界への入口にもなってくれました。5Gでは、広告主やパブリッシャーはそれをはるかに上回るものが期待できます。

 

5G活用のイメージを、コンサルティング企業DDGでマネージングディレクターを務めるスコット・シンガー氏は、「自動運転車に飛び乗り、夕食の準備をするためにAmazon Alexaを呼び出します。ダッシュボードにホログラフィックディスプレイがあらわれ、あなたの好みや今日食べたものをもとにレシピを選び、調理の手順をあなたに教えてくれます。あなたはスーパーに立ち寄って材料を受け取ります。もちろん、材料はすべてロボットがすでに集めてくれています。」と述べています。

速度は1000倍、遅延は1/100

米連邦通信委員会(FCC)によると、5Gは4Gより1000倍速く、遅延は100分の1だといいます。

大きく変わるデジタル広告

データ処理の高速化は最終的に、モバイルとデスクトップのスクリーン以外の場所にも影響を及ぼすことになります。インターネットに接続されたデバイスがかつてないほど複雑に絡み合う一方、広告主は時間や場所に関係なく、あらゆるデバイスやスクリーンに送信されるメッセージをパーソナライズできるようになります。

「5Gは、いま話題になっているすべての新しい技術を実用化できる技術です」と、シンガー氏は語ります。「ARやVR、AI、IoT(モノのインターネット)、自動運転車――これらをパブリックネットワークで実際に機能させるには、信じられないほどのデータ速度が必要なのです」。

インフラやハードがまだ完成していない

4K動画や即時性の高い経験、無制限の接続などに対する消費者の需要が高まるなか、アメリカの市場ではすでに、5Gの展開に向けた基盤の強化が行われています。その先頭に立っているのが通信大手のAT&Tです。AT&Tはここ最近、メディア大手タイムワーナー(Time Warner)とアドテク企業アップネクサス(AppNexus)を買収しています。この買収はどちらも、同社が2018年後半までに数十の市場で展開をめざす5Gサービスからフルに利益を得るためのステップです。ベライゾン(Verizon)やスプリント(Sprint)、Tモバイル(T-Mobile)も、消費者のデバイスに5Gを導入するレースへの参加を決意しています。

とはいえ、その取り組みは容易ではありません。スプリントとTモバイルは6月27日、両社はAT&Tやベライゾンに単独で挑むにはリソースが不足しているため、5Gで競合するには両社の合併が必要だとアメリカ合衆国上院小委員会で訴えました。スプリントで会長を務めるマルセロ・クラウレ氏は、スプリント単独の場合、5Gを人口密度の高い地域に配備するだけでも、約250億ドル(約2.7兆円)の費用が必要になると証言しました。

5G時代の到来に向けて

企業各社はすでに、5G時代の到来に向けて、いいポジションを確保すべく、キャリアとのパートナーシップを築きつつあります。テレビゲームの大会を全世界で開催し、その模様をTwitch(ツイッチ)などのプラットフォームにストリーミング配信するeスポーツ企業のESLは6月下旬、5G技術をゲームのライブ配信に導入するプランにAT&Tと共同で取り組みました。同月に開かれた世界最大のゲームショー、E3でESLがAT&Tの5G技術をテストしました。アメリカ国外では、中国移動通信(China Mobile)が台湾のスマホメーカー、HTCと共同で、5Gで動くVRデバイスの開発に取り組んでいます。

5Gが標準化されれば、企業はすべての事業をこの通信システムで行うようになります。PMXエージェンシーはすでに、今年からワイヤレス化に取り組んでいますが、5Gの実用化はLANケーブルや質の悪いWi-Fiから卒業できる絶好の機会になります。5Gなら、Wi-Fiもケーブルも必要ない、5Gプロバイダーに直接接続すればいい。5Gはそれぐらい速いのです。



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